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気持ちを切り替えようとしても戻る人へ。まず知っておきたいこと
嫌なことがあったとき、「いつまでも引きずってちゃダメだ」「ポジティブに考えよう」と、無理に気持ちを切り替えようとしたことはありませんか。
そうやって明るく振る舞ってみたものの、ふとした瞬間にまた暗い気持ちが戻ってきて、かえって余計に疲れてしまう。
あなたにも、そんな経験があるかもしれませんね。
これは、外がどしゃ降りの雨なのに、頭の上に無理やり「晴れマーク」の看板を掲げて、「今は晴れているんだ」と言い聞かせているようなものです。
どんなに看板で空を隠そうとしても、あなたの心には冷たい雨が降り続いていて、服は濡れて冷え切ってしまっているのですね。
気持ちを切り替えようとしても元に戻ってしまうのは、あなたがネガティブ思考だからでも、心が弱いからでもありません。
まだ十分に癒えていない心の声を無視して、強引に前を向かせようとしているからです。
私は、こうしたときに本当に必要なのは、無理にポジティブになることではなく、まずは今の「雨の天気」をそのまま受け入れてあげることだと思っています。
そこから、心の温度が少しずつ戻り始めます。
落ち込んでいるときに無理に走ろうとすると、心と体の方向がバラバラになります
心が落ち込んでいるとき、私たちの内側では「今は傷ついて疲れているから、じっとして休みたい」という防衛反応が働いています。
それなのに、頭で「早く元気になって行動しなければ」と焦ると、心と頭の方向がバラバラになってしまいます。
嫌な出来事に対するショックや悲しみ、あるいは怒りといった感情は、あなたにとって必要な「心の排泄」のようなものです。
それらを「感じてはいけないもの」として心の奥に押し込めてしまうと、感情は行き場を失って、さらに大きなもやもやとなって何度も表面に戻ってきます。
気持ちが戻ってしまうのは、あなたの心が「ねえ、まだ私の傷に気づいてよ」とサインを送っているからなのですね。
このサインを無視したまま、ただ正しい考え方や元気が出る言葉を上書きしようとしても、心は「分かってもらえない」と悲しみ、防衛の反応をさらに強めてしまいます。
大切なのは、前向きになれない今の状態に、何か深い理由があるのだと気づいてあげることです。
自分の本音は、無理なポジティブさの陰に隠れてしまいます
「大丈夫、次は頑張ろう」という前向きな言葉は、一見すると自分を助けてくれるように見えます。
しかし、それが自分の本当の痛みを覆い隠すための「絆創膏」になっている場合、かえって傷口をこじらせてしまうことがあります。
本当は「すごく悲しかった」「大切にされなくて悔しかった」という本音があるのに、それを感じることを自分に許していないのですね。
このようなときは、一人でポジティブになろうとするのをやめて、信頼できる人に「実はすごくショックだったんだ」と、格好悪い本音をそのままこぼしてみることが大切です。
「それは辛かったね」とただ受け止めてもらうだけで、心の中の冷たい雨が、少しずつ温かい涙に変わって流れていきます。
自分の弱さや痛みを隠さずに見せることで、初めて心は本当の意味でリラックスし、自然と前を向くエネルギーが湧いてくるのです。
無理に前向きにならないために、今日できること
今日からできる一番優しいアプローチは、ポジティブになろうとする努力を「完全に諦める」ことです。
そして、曇り空を見上げるように、今の自分の重たい気持ちをただ観察してみてください。
「あぁ、私は今、本当にがかがりしているんだな」
「あの言葉に、すごく傷ついたんだな」
そうやって、自分の気持ちにただ名前をつけて、その存在を認めてあげるのです。
まるで、雨の中に立っている自分に、そっと傘を差してあげるようなイメージですね。
そのうえで、今日は心を元気にするためではなく、ただ身体を温めることだけを考えて過ごしてみましょう。
温かいお風呂にゆっくり浸かる。
お気に入りのホットドリンクを飲む。
毛布に包まって何もしない時間を十分だけ作る。
心が冷えているときは、身体から温めてあげることで、防衛の反応も自然と和らいでいきます。
変わることは、いつでも明るい自分になることではありません
気持ちが切り替えられないという苦しさから抜けていく道は、どんな時もブレずに明るくいられる「強い人」になることではありません。
雨の日には静かに雨の音を聞き、晴れの日には光を浴びるように、自分のどんな感情も拒絶せずに受け入れられるようになることです。
悲しんでいる自分も、怒っている自分も、すべてがあなたという大切な存在の一部です。
「今は元気がなくてもいいんだよ」と、自分のペースを許してあげること。
この自分への寛容さこそが、本当の意味での自分軸を育ててくれます。
気持ちが元に戻ってしまっても、焦る必要はまったくありません。
それは、あなたが自分自身を丁寧にケアするための、大切な時間が必要だという証拠です。
今日は無理に笑顔を作ろうとせず、その曇り空のままの自分を、ただ優しく受け入れてみてはいかがでしょうか。